さて、近年スマートロックと言われる製品が増えてきました。
自社で新しい事業を立ち上げるにあたって、スマートロックの活用を検討している方も多いの中、
種々ある製品で、どうやって比較すれば良いのでしょうか。
個人向けの製品だと口コミやレビュー、比較などもしやすいのですが、 ビジネスではなかなか情報が少なく選び方が難しく感じました。
今回は事業用途でスマートロックを使いたい場合のおすすめ製品を徹底比較していきます。
スマートロック法人利用の選定ポイント
法人用のスマートロックを調べた結果、実際に利用を検討する際に必要なポイントは大体以下のようなものになります。
導入ハードルと費用
やりたいオペレーションが実現出来るか
信頼性
APIが使えるか
以上を踏まえて現在ビジネスにおすすめできるスマートロックがこちらです。
ビジネス向けのスマートロック3選
カードキーの手軽な導入「Akerun」
メリット
アケルンはフォトシンスが提供する後付け型のスマートロックです。
後付けタイプのため、現在のシリンダーキーに適合すれば工事不要で両面テープのみですぐに設置が可能です。
さらに初期費が掛からず月額のレンタルモデルのため初期導入ハードルが低いのが魅力です。
後付けタイプでも、ゲートウェイとカードリーダー等の周辺パーツが準備されているので遠隔管理ができ、管理ソフトでは複数ドアの管理ができます。
使い方もスマホアプリとFelicaなどのカードキー両方に対応しており、オフィスや会員向けサービスに向くスマートロックです。
最初の家庭向けモデルは販売終了していて、 現在は法人オフィス向けの入退室管理システムにシフトしています。
キングオブタイムという勤怠管理サービスと連動しており、APIがあるのもポイントが高いです。akerunコントローラーという電気錠が管理できる製品も出しているため、拡張性も高いです。
アプリまたはカードキー登録が必要なため、一回利用が多発するタイプのビジネスには不向きなケースがあります。
また高機能な分、他の製品よりも月額費用は高めで、1台17500円/月(2019.4確認)です。
利用方法と長期利用を想定した際に、ビジネスと費用などがマッチするかは確認が必要です。
それでも高額な入退室管理システム等と比較してメリットは余りあると思います。
本格オペレーション向け「RemoteLOCK」
リモートロックは、構造計画研究所が提供するテンキーをタイプのスマートロックです。
実は、開発元はアメリカで、国内販売されているスマートロックで最も長い運用実績があるのがこの製品です。
工事が必要な製品ですが、カギやスマホもいらない暗証番号式で利用者の使いやすいためビジネス向けの安定感がある仕様です。
暗証番号が同時に最大1000個と大きな容量があり、会員タイプと一時利用が混在しても対応が可能です。こちらも当然、遠隔・複数の施設管理機能があります。
APIの提供があり、自社システムと繋げられる他、宿泊サービスのairbnbのグローバルパートナーに認定されているなど、各種の宿泊やレンタルスペース等の10以上のサービスと連動しており、予約型サービスではオペレーションの全自動化も可能になります。
テンキー対応のオプションがある製品はいくつかありますが、他の製品はゲートウェイを介して1つの暗証番号をその都度書き換えて使う形式なのに対し、こちらは利用者毎の暗証番号を同時設定することが可能です。
そのため個人管理とカギを事前送付が可能、トラブル時の対応などのオペレーションの強さが目立ちます。
細かい部分で気の利いた機能に定評があり、工事で設置することも玄人受けする製品です。
自動ドアや電気錠が管理できるTOBIRAという製品も出しており拡張性が高いです。
工事が必要です。
月額は1000円OR1500円(2019.10確認)と安いですが、最初に本体購入と設置工事が必要なため導入ハードルが高めです。
数ヶ月など早期撤退の可能性があるビジネスや工事設置がNGの施設での利用には不向きでした。
2019年にはシリンダー交換で設置できる新製品が発表されているので新しいモデルには期待です。
使い方はシンプルなため、クリアできる場合の用途の広さと業務効率化の効果ではこの製品でしょう。
トコトン割り切れるなら「SESAMI mini」
Makuakeで登場して一時期話題をさらったスマートロック がセサミというスマートロック です。
非常にシンプルでスマートフォンで開け閉めが可能なスマートロックです。
実は機能的には今回の選定ポイントを満たさない項目が多いのですが、
ゲートウェイがありAPIを公開していて遠隔操作ができる製品で、買い切りで使えます。
適合シリンダーであれば両面テープ設置ができる後付けタイプで、アタッチメントがあり意外と設置できるドアが多くあります。
法人利用での評判は正直分かれますが、こちらも元々グローバルの製品でプロダクトとしてはしっかりしており、ハマれば使いやすい製品として選出しました。
製品自体は実はコンシューマー(家庭向け)で、法人向け管理機能はないのですが、自分のスマホをノックすると開けられる等ちょっと面白い機能も持っています。
オペレーションが成り立つかはよく確認してください。
前述のアケルンやリモートロックでは、1度カードや暗証番号キーを発行しておけば、指定期間中は自由が出入りできる仕様になっていて、入室「権限」の制御がされています。
一方でセサミでは、APIを介して解錠と施錠ができるだけという極めてシンプルなものになっています。
そのため、実際のシーンでは誰かがトイレに行くドアを出入りする必要がでた時に、毎回APIを介した自社システム側で誰かが対応をする必要があります。
複数ドアがある場合も同様で、自社システムや自社スタッフで全て制御をする必要があり、このあたりがビジネス利用にウケなかった理由です。
ユースケースが絞られはしますが、上記がクリアできる場合には一転有力な選択肢となる可能性があります。
法人向けスマートロックおすすめ3選 比較表
Akerun | RemoteLOCK | sesami | |
法人向けの管理機能 | ある | ある | ない |
導入ハードルと費用 | 初期費はないが月額は高価 | 費用バランスは良いが、工事が必要 | 買い切りで安い |
やりたいオペレーションが実現出来るか | ◎ カードキーのオフィス運用に向いている | ◎ 会員施設や宿泊など不特定多数運用に強い | △ アプリ単体では難しい |
信頼性 | ○ 国内オフィスでの導入実績 | ◎ 海外、国内での運用実績が多い | ◎ 海外、国内での利用実績が多い |
API | 使える(アクセス権限) | 使える(アクセス権限) | 使える(施錠、開錠のみ) |
ランクインしなかったスマートロックたちの脱落理由
ベスト5を選定する企画だったのですが、都合により3選となりました。
前提として、カードやテンキーのようにアプリ以外で解錠・施錠できる代替措置があり、
数台の利用を想定して法人で使える水準の管理機能があること等を考慮しました。
スマートロックで法人利用と考えた場合に、
元々家庭向けに設計された商品のため法人向けと言えない、
銘打たれているものでも管理機能の開発が追いついていない、
などの諸事情により選定数は変更になりました。
余談として新しい製品も色々出初めているのですが、日本で最初にスマートロックが発売されたのは2015年で、当時発売された製品は全て絶版になっており全て何らか改良がされた後継機種に置き換わっています。
そうした背景も踏まえ、法人向けおすすめということでの信頼性なども加味しています。
さいごに
選定数や紹介した製品はアップデートにより今後追加や入れ替えがあるかもしれません。
新しいジャンルの製品のため、今後も発展に期待ですね!